やっぱりか・・・

 

 熱海土砂災害の続報です。テレビなどでの報道でも大きく取り上げられていますが、どうも人的要因(盛り土)が重なっていたようですね。詳しい検証を待つ必要がありますが、静岡県が言う通り盛り土に問題があったとすれば、長雨も発生原因の一つであるが、被害を大きくした主因はそこに移ります。

 

 しかし、もう一つ大きな問題があると私は思います。それは右の新聞でも書かれている通り、避難情報の出し方が今回変更され、避難勧告が廃止され『避難指示』に一本化となったことです。これにより発令する側の負担が増えたのではと考えます。

 

 それは、これまで『避難指示を発令する』とは自治体にとって、かなりの危険度、または確実に災害に至るなどのギリギリの時に出さていました。そのためこの情報を出すときの、自治体職員の緊急招集体制なども高いレベルで対応することになります。国は「これまで避難勧告を出すタイミングで」としているようですが、なかなかそうやすやすとはいかないはずです。職員を夜間や休日の招集すれば、別途手当てが必要になります。これらは殆どケースで自治体の予備費で賄われているようです。このような費用負担や、避難勧告並みに避難指示を発令すれば、その情報の重みも薄れ、結局「レベル5・緊急安全確保」まで何もしないようになる恐れも含んでいます。

 

 これらを解決するには、やはり一人一人の自分の命は自分で守るという危機意識の醸成が重要です。避難の情報を待つなどの行政依存ではなく、各家庭で、各地域で、命を守るために、どの様な状況になれば何をするのか、どうするのかを普段から取り組んでいくことが重要だと思います。


なんだかな・・分かってたけど

やっぱり避難はしない

2021/07/13 松森和人   

2017年に「避難準備情報」を、「避難準備・高齢者等避難開始」に変更、同じく「避難指示」を「避難指示(緊急)」に変更。この変更は、2016年に岩手県岩泉での豪雨災害で、「避難準備情報」が出されていたのですが、高齢者施設で避難が遅れ犠牲者が多数発生しました。遅れた原因は、施設スタッフが「避難準備情報」に、『高齢者などが含まれているとは知らなかった』との発言からでした。そして「避難指示」にも「(緊急)」を加え、避難率を上げようとしました。

 

翌年の2018年7月に、西日本豪雨詐害が発生し、広島・岡山・愛媛などを中心に、281名が命を落としました。犠牲者が100名を超えた風水害は、昭和57年7月の長崎大水害(死者行方不明者326名)以来で大変大きな衝撃でした。被災した殆どの自治体からは、発災前の段階で避難勧告との情報が出されていたのですが、実際の避難率は0.5%と驚異的な実態でした。この災害を受け、専門家などを集めた検討会が再度設けられ、避難率を上げるために「警戒レベル5段階表示」を翌年から取り入れることになりました。また、行政主体の防災対策ではなく、住民主体の防災対策に転換を進めていくことが提言されています。

 

この「警戒レベル5段階」が運用された2019年7月、台風19号+発達した南岸低気圧により、千曲川の決壊など甚大な被害が発生し、死者行方不明者数102名という2年続けて大水害が発生しました。警戒レベル情報も避難勧告・指示などの情報も出されていましたが、避難実施率は3%という結果でした。やはり「逃げ遅れ」が大きな要因となったのです。またもや専門学者たちを集め検討会が設けられ、対策が協議されたのですが、避難力を上げるためのキャンペーンの実施や、避難情報、避難行動要援護者などの制度的検討が挙げられました。その一つ、今年取り入れられたのが、「避難準備・高齢者等避難開始」を「高齢者等避難開始」に変更し、「避難勧告」を廃止し「避難指示」に一本化にし、避難率を上げようとしたのです。この制度は、今年の5月20日から運用が開始されています。

 

そして、今年7月に入り「熱海土砂災害」が発生し、その後、7月7日にも中国地方を中心に大雨が降り、松江市では約20万人に避難指示が発令されたのですが、避難者は314名と驚愕な事実が明らかになりました。結局、何度も情報名称などを変えることばかり行われてきましたが、良くなるどころか悪化しているとしか言いようがありません。

 

多分、多分ですが、専門家のみなさんも「呼び方だけ変えても効果は・・」と思っている方も少なくはないと思います。平成27年9月に発生した関東・東北豪雨災害を受けて「水害時の避難・応急対策検討ワークインググループ」が設けられ、提出された検討報告『水害時における避難・応急対策の今後の在り方について』の「おわりに」に大変興味深い、いや、強い感銘を受けた記述があります。以下、一部抜粋して記載します。

「 災害を我が事として捉え、国民一人ひとりが災害に備えるような社会」を実現するためにはどうしたら良いかという根源的な課題については、本ワーキンググループにおいても議論がなされたものの、解決策を提示するまでには至っていない。我が国の災害対策制度の在り方を見つめ直し、この根源的な課題を深く掘り下げて検討することが望まれる

根源的な課題の解決策は、「避難指示」などの名称の変更では決してないことは明確になりました。ならば本気で根本的課題に取り組む必要があります。自民党の石破茂議員が野党時代、国会の東日本大震災関連の質問で「逃げるな!曖昧にするな!突き詰めて考えろ!」と言っておられました。災害で亡くなった方々の命を前に私たちが出来ること、すべきことはそれしかないと私は思います。


本当に危険な状況に!

朝日新聞より

 

 国連の気候変動政府間パネルが8月9日に、このままでは2040年にも気温が1.5度上昇するという驚愕の予想を公表しました。このままでは2度上昇を避けるのは容易ではない状況になってきます。

 

1.5度上昇と2度上昇の違い

        2度上昇    1.5度上昇

海面上昇     基準      ー10cm

年間漁獲量   ー300万t     ー100万t

洪水リスク   170%増加     100%増加

サンゴ消失   99%以上      70~90%

 

今年も、各地で水害土砂災害は頻発しています。明らかに雨の降り方が変わってきています。普段の生活の中で出来る温暖化防止対策は、水害土砂災害対策に直結していると言ってもいいと思います。


線状降水帯速報が6月17日に運用開始

 

速報内容に関しては、左新聞記事を読んでください。

平成26年8月、瀬戸内海で発達した線状降水帯が広島市を襲い、20日の深夜3時間で200㎜を超える豪雨をもたらし、安佐南・安佐北を中心に166カ所で土砂災害が発生し77人が犠牲となりました。この後も、九州北部豪雨などでも線状降水帯が発生しています。このことから気象庁は、線状降水帯が観測された場合に、警戒レベル4相当として発表し身を守る行動につなげたいとのことです。

 注意してほしいのは、この情報が出された時には非常に危険な状況となっていると理解して、通常の避難行動ではなく、ギリギリ命を守る行動をとってください。


新しい警戒レベル&避難指示に変更

その日に早速『避難指示』発令!

その結果は

(福井新聞より)

 2021年5月20日から、「避難に関する情報がわかりにくい」とか、「避難勧告では避難せずに『避難指示』の発令を待ってしまい逃げ遅れがおきてしまう」などの理由から、避難勧告が廃止され避難指示に一本化されました。

 何と変更したその日に九州南部で大雨が降り、各地で早速『避難指示』が発令されました。行政の防災担当者からは「発令」のタイミングが判りやすかったとかの好反応でしたが、肝心の避難状況は、熊本県水俣市で2.5万人に対し避難指示を出し避難者数は7名、天草市は1万人に対し発令し避難者数は2名でした。確かに、まだ住民に浸透していないとの見方もできるが果たして・・・

 

 確かに情報をわかりやすく明瞭にすることは大賛成です。避難勧告⇒避難指示の2段階式を、それを平成17年に避難準備⇒避難勧告⇒避難指示の3段階に、それを平成28年には「避難準備」を「避難準備・高齢者等避難開始」に変更、更に2019年からは警戒レベル5段階の導入、そして今回の変更です。この5年間に三度の変更は、迷走していると感じるのは私だけでしょうか。

 

 情報だけで行動に変換できるかというと、それが困難なことは明白なことです。何よりも大切なことは、私たち一人一人が自分の命は自分で適切に守る。その為にしなければならないことを正しく理解し、適宜適切に行動することができることだと考えます。


5月20日(木)から「避難勧告」はなくなります!「避難指示」で確実に避難を!

 全国的に異例の速さでの梅雨入りとなっています。早く入って、早く梅雨明けするのなら良いのですが、過去のデータでは平年よりも梅雨明けは遅くなる方が多いようです。すなわち水害の発生確率が確実に例年よりも高いということです。

 そこへ避難情報の変更です。警戒レベル1・2はそのままで、警戒レベル3の「避難準備・高齢者等避難開始」は「高齢者等避難開始」に、警戒レベル4の「避難勧告」「避難指示(緊急)」は「避難指示」のみとなり勧告は廃止となりました。その上の警戒レベル5は「災害発情報」から「緊急安全確保」に変更となります。

 今のうちから避難場所・避難経路の確認、避難時に持っていくものの整理・準備、家族で避難行動の確認など備えを進めましょう。そして「避難指示」が出てから行動開始ではなく、警戒レベル1から行動開始することが重要です。

 警戒レベル1が発表されたら「注意を開始し、心構えを整える」、レベル2になったら「家族で確認する」、レベル3になったら「高齢者等は避難を開始し、以外の人は避難の準備を整え情報に注意する」、そしてレベル4になったら「速やかに避難を実施し、レベル5になるまでに確実に安全な場所へ避難完了するのが大切です。


5か月近く過ぎてからでは・・・

(福井新聞 2021/05/10)

 

 大見出しの「7割 救済なし」だけを見ると、酷いことが起きたように見えますよね。新聞では、救済を受けられるよう法改正されたのに、その対象の7割近くが急さを受けられなかったいうのです。では、一体何が問題なのかをもう少し説明しようと思います。

 

 2020年11月30日の参院本会議で。改正「被災者生活支援法」(以下、「支援法」)が可決、成立しました。これまでの支援法では、住宅の被害程度に応じて支援金が支給され、50%以上の「全壊」、40%以上の「大規模半壊」に限って支給されてきましたが、30%以上の「半壊」でも修理に要する費用は約500万円と、被災者にとってかなりの経済的負担となるため、新たに「中規模半壊」を基準に加え、支援の対象として最大で100万円を支給することとなったのが、支援法の改正内容です。更に、この改正の適用は2010年7月に発生した豪雨災害にも適用されることとなったのです。(下表「災害の被害認定基準等」参照)

 

 支援法の改正は、被災者にとって助かる制度が出来たのです。しかし、7月豪雨で被災された方の罹災証明は殆どが終わっており、「半壊」と被害認定された方が、再度申請が必要となったわけです。しかも、罹災証明書には「30%以上」とかの記載はないため、被災家屋の写真や、立て直しや修理の契約書なども必要になります。この様に、5カ月近く過ぎてから「もう一度申請を」と言われても、疲れ果てているうえにもう一度は・・・。「7割救済なし」ではなく、再度の罹災証明申請の手続きの救済がなかったのではと考えてしまいます


要支援者名簿へ難病患者対象外4割

これは難しいなぁ~(福井新聞 2021/5/5)

 

 災害対策基本法では、市区町村に要援護者名簿の作成を義務化しています。そのため自治体は、65歳以上の高齢者、要介護度や障がい者等級などにより要支援者名簿を作成します。しかし、難病患者登録などは都道府県が行っており、基本的に市区町村にデータはありません。そのため、対象外となっている自治体が多いと言う訳です。

 

 また、難病患者は外見からは判り難いことが多く、一見普通に見えても、体内の水分コントロールが難しい難病や、様々な難病があり本人が隠しておられる方も少なくないと聞きます。

 

 要援護者名簿の整備も必要ですが、地域ぐるみで助け合う仕組みをもっとしっかり作り、難病も方も安心して手を挙げられるようにすることも大切と考えます。

 

 名簿に掲載されても、地域の支援を求めることを躊躇われたら、名簿があっても問題解決にはならないことを理解しなければなりません。


これで何度目か・・・

 

 政府は、近年多発する風水害での被害を軽減するために、避難に関する情報を変更することを国会で全会一致で可決した。この5月から運用が開始さえる予定となった。

 これまでの3段階(避難準備高齢者等避難⇒避難勧告⇒避難指示)を、2段階+1(高齢者等避難⇒避難指示;緊急安全確保)としました。

 理由は、「避難勧告」では避難実行はされにくく、「避難指示」を待ってしまい逃げ遅れが出やすいためとのこと。そのため、これまでの「避難勧告」を発令する段階で「避難指示」を発令し、避難実行率の向上を目指すとなっています。

 これまで大きな風水害被害が起きるたびに、避難準備の追加、警戒レベル5段階、名称の変更など何度も試みてはいるが、殆ど効果が見えず、これが何度目のリベンジかと思うと、名称の問題ではないのではと考えるが普通ではないだろうか。

 平成27年9月関東・東北豪雨災害を受けて中央防災会議・水害時の避難・応急対応検討WGが平成28年3月に発表した「水害時における避難・応急対策の今後の在り方について」の”おわり”に書かれていた一部を紹介します。

 

「災害を我がこととして捉え、国民一人ひとりが災害に備える社会」を実現するためにはどうしたら良いかという根源的な課題については、本ワーキンググループにおいても議論がなされたものの、解決策を提示するまでには至っていない。我が国の災害対策制度の在り方を見つめ直し、この根源的な課題を掘り下げて検討することが望まれる。

 

 今回の呼称等の変更が、国民一人ひとりが災害に備える社会を実現するための根源的課題解決策とは・・・私は懐疑的にならざるを得ないのです。(松森)


一歩踏み込んだ・・・

    流域治水関連法が成立

                2021/04/29 福井新聞より

 

2020年7月に九州地方を襲った水害で、高齢者施設が浸水し14名が亡くなる大きな被害が発生しました。施設が球磨川水系の支流近くにあり9m近く浸水してと推定されています。ハザードマップは支流域のため作成されておらず、リスク情報が共有されていなかったのが問題なりました。

 

今回の流域関連法では、中小河川でもハザードマップを作成し、リスクを事前に周知する。また、浸水被害が著しく高いエリアは許可なく住宅建設が出来ないようになりました。建設許可制とするのは、川幅が狭いなど反乱がおきやすい河川の周辺で、知事が区域指定します。住宅や高齢者施設等は、居室の高さや強度を確認したうえで許可するとなっています。

国は2025年までに、浸水想定区域の設定を目指すとしています。

 

2020年には宅建業法が改正され、不動産の売買契約時に、当該不動産の立地場所がどのようなリスクがあるのか、ハザードマップにより説明しなければ契約できないよう、重要事項説明項目に加えられました。

 

あとは私たち一人ひとりの意識の問題ですね。(松森)