コラム


平年より9日早い梅雨明けとのことです

この「平年」ってなあに?

「今年の夏の気温は平年並み」とか「平年より高いでしょう」とか言いますよね。この「平年値」は10年ごと(西暦の末数が1の年)に、西暦末数1の年から+29年の30年間のデータ平均値が「平年値」として更新されます。

そう今年2021年は、平年値の更新の年なのです。1991年~2020年まで(過去30年分)の観測値の平均が、これから10年間「平均値」として使用されます。なので昨年の平均値は1981年から2010年までの平均値となります。昨年は「気温は平年より高いでしょう」と言っていたのに、今年は「平年並みでしょう」だったとしても、「去年より気温が低い」という予報ではない場合があります。注意してください。


命を守るメッセージ

 昨年の12月に中央防災会議から「平成30年7月豪雨を踏まえた水害・土砂災害からの避難の在り方について(報告)」が発表されました。

昨年の豪雨災害では200名超える死者が発生しいます。これは昭和58年の豪雨災害以来の100名を超える被害です。これだけ気象予報や警告、早期の避難の情報発令、伝達方法の多様化など、様々な対策がなされているにもかかわらず起きた大きな被害。これを受けての「避難の在り方についての報告」です。

 

内容については、以下からダウンロードしていただき、是非一読ください。

 

私たちが常々主張してきた、「行政には限界がある。依存ではなく自身で命を守る主体性が大切」との主張と同じものであるが、これまでの国が開催する検討会等では行政対策が主体となっていたものが、この報告は「国民のみなさんへ」とのメッセージが最後の「おわりに」で述べられている。これは私も初めてで驚きで読んだ。正に、防災・減災の原則だった。

おそらくですが、これからの防災の議論は大きく変わるのだろうと思います。大変良い意味で。

「おわりに」

<国民の皆さんへ ~大事な命が失われる前に~ >
・自然災害は、決して他人ごとではありません。「あなた」や「あなたの家族」の命に関わる問題です。
・気象現象は今後更に激甚化し、いつ、どこで災害が発生してもおかしくありません。
・行政が一人ひとりの状況に応じた避難情報を出すことは不可能です。自然の脅威が間近に迫っているとき、行政が一人ひとりを助けに行くことはできません。
・行政は万能ではありません。皆さんの命を行政に委ねないでください。
・避難するかしないか、最後は「あなた」の判断です。皆さんの命は皆さん自身で守ってください。
・まだ大丈夫だろうと思って亡くなった方がいたかもしれません。河川の氾濫や土砂災害が発生してからではもう手遅れです。「今、逃げなければ、自分や大事な人の命が失われる」との意識を忘れないでください。
・命を失わないために、災害に関心を持ってください。
◦あなたの家は洪水や土砂災害等の危険性は全くないですか︖
◦危険が迫ってきたとき、どのような情報を利用し、どこへ、どうやって逃げますか︖
・「あなた」一人ではありません。避難の呼びかけ、一人では避難が難しい方の援助など、地域の皆さんで助け合いましょう。行政も、全力で、皆さんや地域をサポートします。


土砂災害警戒情報の精度アップと警戒情報の変更

(NHKニュースより)2017.01.26

 

 土砂災害が起きるおそれが高まっていることを知らせる土砂災害警戒情報について、福井県と福井気象台は1月末から過去のデータに基づいて精度を高めるとともに、発表前に危険度を伝える情報をより早い段階から詳しく伝えることになった。
 自治体が出す避難勧告や住民の自主避難の判断の基準にするため土砂災害警戒情報を発表しているが、出しても災害が起きないいわゆる「空振り」の回数を減らすため、県と気象台は過去10年間の土砂災害や雨のデータを分析し、精度を高める。また、県は土砂災害警戒情報を発表する前の段階からホームページを通じて注意を呼びかける土砂災害の危険度情報についても見直し、これまで3段階で表示していた情報を高齢者など避難に時間のかかる人を支援するため、より早い段階から5段階で示すということです。
 さらに危険度情報の範囲もこれまでの5キロメートル四方から1キロメートル四方とより細かく表示することにしています。1月31日から発表基準を変更する予定です。
 県は、「自分たちの地域の災害情報を細かく知ってもらうことで避難に役立ててほしい」と話しています。

この変更は有効なのか? (松森)

左図が変更後の危険度情報レベルです。

私の考えの結論から言うと「有効」と思います。しかし、これまでの課題点を大幅に改善するするものではなく、この情報をいかに活用するかが問題になると思います。以下に変更ポイント毎に「メリット」「デメリット」を考察したいと思います。

1.過去10年間のデータの活用

 【メリット】

  水害・土砂災害の多発化は、平成16年から顕著となっているため、この

  データを活用し判断するのは有効と考えられます。

 【デメリット】

  予報自体が過去のデータとの照合であり、今後も過去と同じ気象状況とは

  限らない。あくまでも「精度アップ」である認識が必要。

2.1kmメッシュの採用

 【メリット】

  これまでは5kmメッシュであったため、自治会単位等で細かく情報が把

  握でき、自主的な避難行動に役立つ

 【デメリット】

  この情報も。あくまでも推測であって表示危険度が低くても、実況では土

  砂災害に至るケースも25%近く発生している。あくまでも判断材料の一

  つと認識する必要がある。

3.危険度の5段階表示

 【メリット】

  これまでは3段階表示であったため、以前の最高危険度(赤色)が2月か

  らはレベル4or5に該当する。避難のタイミングを考えると、この段階

  では通常避難ではなく「駆込み避難(当会の新たな避難方法)」となると

  思われる。このように、タイミング・判断の情報としては非常に有効と思 

  われる。

 【デメリット】

  全体を通して共通するが、この情報の活用方法を正しく理解する必要があ

  ると思う。どんなに細かく表示してもそれが理解されていなければ効果は

  望めない。

 

 以上、考えられることを書き連ねたが、基本的なことは「住民自身が行政からの避難情報に依存することなく。自らの判断で命を守ることができるように行動すること」である。そのための判断材料として情報が存在する。

 しかし、どんなに精度が上がっても「予報」であり、判断の基準ではないという認識を持たなければならない。また、情報が細かくなればなるほど、判断基準になりやすい。その点からも、住民自身が正しく情報を活用できるような取り組みを、今後積極的に実施しなければならないと感じた。


黒潮町の缶詰を買ったら・・・

 

黒潮町が缶詰(非常食用)を作って防災をしている。」との話を耳にし、興味本位で注文したら写真の缶詰が届きました。

まあ、美味しそうだなあと思いながら、同封されていたパンフのようなものを開くと、そこには高知県黒潮町が34.4mの津波に真っ向勝負し、町民を守る強い意志とやる気がガンガン伝わる機関紙が入っていました。それが下の写真です。

とても全部を紹介できないので、見出しだけ紹介します。

○あきらめたらいかんぞ! ○全職員が防災担当者になって ○ついに戸別カルテ100%回収に ○防災教育・子供たちの避難訓練から ○もしもに備える毎日につながっている

 

内閣府が発表した、黒潮町の最大津波高34.4mは、絶望さえ覚える数字だったはずです。しかし、あきらめない考え方、あきらめない思想を創ろうと全職員、全町民が一丸となって本気で立ち向かっています。

 

この缶詰は、その活動の中で「誰もが安心して食べられる非常食がほしい」という声に、町にある小さな缶詰工場と町がタッグを組んで作った、7大アレルゲン不使用の缶詰なのです。だからマークは34mと記載された旗!そしてこの収益の一部は、当然に防災、町民の命を守る活動に活かされるそうです。

ちなみに私が購入したものは、「6缶セット」で2400円、それに税・送料で3100円でした。

 

詳しく読みたい方は、PDF版を下に張り付けておきました。それをお読みください。

 

味の報告は、後日させていただきますが、私の味覚はちょっと雑にできているので・・・・

ダウンロード
黒潮町機関紙表面
EPSON004.pdf
PDFファイル 3.7 MB
ダウンロード
黒潮町機関紙裏面
EPSON005.pdf
PDFファイル 3.1 MB


これまで活動してきて、感じたことや様々な体験などからの思いを書き綴っています。良ければご一読ください。

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